銀時


「うー、銀ちゃん暑い。」
「いやいや、銀ちゃんも暑いから」
「海連れてってよー」
「そんなお金ありません」
「…ケチ」

さっきから、数分ごとにこんな感じのやりとりを繰り返している。
やれ花火(打ち上げ各種)がしたいだの、エアコンつけろ、だの。
全くもって、いつからこんなにワガママっ娘になったんだか。
やれやれ、と苦笑いを零して、俺が胡座をかいていた足をだらりと伸ばすと、
隣に座ったワガママ娘がまた、俺の名前を妙に甘えた声で呼んだ。

「ぎーんとーきぃー」

しかも、言いながら俺の肩に猫みたいに頭をスリ寄せる。…あ、ダメだ、ちょっと可愛い。
なんて、一瞬何でも言うことを聞いてしまいそうになって、内心慌てつつ出来るだけ脱力系を装って俺は返事を返した。

「んー、今度はどうしたぁ?何言っても多分何も出来ないぞー 何を隠そう銀ちゃん金欠だから」
「銀時が金欠なのはいつもでしょ」
「う、言い返せない所が悔しい。…で、どうした?」
「うん。じゃあさ、あたしスイカ食べたい」
「…」

スイカ。
案外 ゆるいお願い事に俺は拍子抜けして、小さく笑った。

「スイカか。たまにはいいな」
「でしょ?そうでしょ?よしっじゃあ買いに行きましょ!」
「え、や、ちょっ」

いいなぁ、って言っただけなんだけども、もうすでに買い物に行く気満々のワガママ娘は、俺の腕を引いて笑った。
…そんな笑顔を見せられたら、もう行かないわけにはいかなくて。

「よしっ、んじゃあ行きますか!」
「いぇっさー!!」

俺達は炎天下の中、やたらと元気に繋いだ手を振り回して
近所のスーパーの安売りスイカを目指して歩き出した。


日常の
(でっかいスイカげっと!)
(嬉しそうに笑うあいつは、愛しい俺のワガママ姫ってわけで。)
(結局いつも、姫君の可愛いワガママを俺は聞いてしまうんだ)



ああ、なんて幸せな日常。


→バレキス隊






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